一般社団法人オハナ

障害の有無や年齢、社会的マイノリティ等に関係なく、生活や権利が保障されるまちづくり。


会長あいさつ


 一般社団法人オハナの会長に選任されました、狩野です。オハナの構想は一昨年、私が岡山県の実施した「市民後見人養成講座」を受講したところから始まります。背景には、2025年に団塊の世代が後期高齢者となり、認知症高齢者も令和7年には470万人を超えると推計され、地域に意思決定に課題を抱える人が増えていくという社会の変化があります。
 また、高齢者をターゲットにした訪問商法や、詐欺事件も増加の一途をたどっています。2022年のデータでは、高齢者を狙った特殊詐欺で最も多いのは還付金詐欺で前年から約17%増の4千6百件余、次がオレオレ詐欺で前年比39%増の4千2百件余、さらに、キャッシュカード詐欺盗約3千件、架空料金請求詐欺約2千9百件、預貯金詐欺約2千4百件と続きます。
 判断力の低下に伴い適切な時期に、生活の世話・療養・看護及び財産管理に関する事務を行う成年後見制度を活用していたら、高齢者を狙った悪徳商法や詐欺から高齢者の方を守ることができたかもしれない、私はそう考えて、法人として成年後見人等を引き受ける一般社団法人オハナの設立を決意したのでした。
 しかし、私たちには、課題もたくさんあります。運営基盤を整えるためにも、基金を募集し活動資金を調達していかなければなりませんし、成年後見人等を受任するにしても、実際に後見事務を担うスタッフを集めなければなりません。ただ待っていただけでは成年後見の依頼が来るわけもあありませんので、効果的にオハナの活動を知らせる活動も必要です。
 また、非営利事業だけで経営を安定させていくのは厳しいので、収益事業も検討したいと思っており、その一つが、全国的に問題になっている空き家対策です。岡山市にも5万件超の空き家がありますが、その管理を引き受けることや活用方法の相談支援に取り組む事業を通じて収益を確保していきたい、また、そうした空き家を住宅弱者向けの住宅の確保につなげたい、そんな活動をオハナの収益事業の柱の一つにしていきたいと思っています。
 そして福祉経営のコンサルティングをもう一つの収益事業の柱と考えています。福祉法人の経営の大規模化が国の方針となっており、特に介護分野でM&Aの件数が右肩が上がりで増えてきています。社会福祉分野に特化した経営コンサルティング会社がつくられ、営業を強めており、今春には、介護報酬がなかなか上がらない中で、介護事業所を譲渡したいという岡山市内の社会福祉法人の話を耳にしましたが、東京のコンサル会社のコンサルフィーの金額には驚きました。
 私たちは、この間の法人経営のノウハウをもとに、経営課題の明確化とサービス内容の評価を行ったうえで、現場の管理者と一緒に経営改善計画を作り、計画の進捗を一緒に確認し、次の改善計画を作り、実践していくという経営改善サイクルの進行に、伴走者として一緒に走りながら経営改善を達成するまでフォローする伴走型の経営コンサルティングに取り組みます。事業譲渡や合併しかないケースもあるかもしれませんが、その場合にも一緒に考えることを大切にしたいと思います。
 ここには書ききれないほど、やりたいことがありますが、課題を一つひとつクリアしながら、オハナと一緒に私も成長していきたいと思います。よろしくお願いします。

2024年10月31日
一般社団法人オハナ 会長 狩野毅